今日も明日も、マリリン日和

センター負傷棟から救出された雑種犬、マリリン。車いすを軽快に乗りこなすマリリンと、夫と、私。家族の日々の記録です。

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とってもいいことだ

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先日のこと。

マリリンと散歩していると、目の前に突然、ご婦人が飛び出した。

足音であるとか、気配であるとか、そういった予感的なものをまったく感じさせずに、静かな家の庭先からいきなりバーーン! だったため、マリリンも私も、ヒョ~! と仰天し、危うくふたりで吠え立てそうになった。

「あらやだ、ごめんなさい。びっくりさせちゃったかしら。そんなつもりじゃなかったの」

茶目っ気たっぷりにご婦人は言った。

「はぁ、いえいえ、こちらこそ」

などと応じつつ、いくらか落ち着きを取り戻す。

ご婦人は、私たちの顔をまじまじと見つめ、うふふ、と笑った。

「あのね、あなたたちのこと、庭から何度か見かけたことがあったの。

声をかけたいと思っていたんだけどね、大抵いつも作業中で手が離せなかったりしたものだから。

だけど今日は良かった、ちょうど作業が終わったところなの。

あなた、いっつもおっきな声でワンちゃんに話しかけて。

ずーっとそうして歩くのね。

最初はどうしたんだろうなんて、ちょっと怪訝に思っちゃったんだけどね、そのうちに、なんだかいいなぁ~って思うようになったの。

だって楽しそうよね、あなた。

とってもいいことだわ」

優雅で淀みない話しぶりに少々気圧されつつ、ありがとうございます、と頭を下げた。

「お庭までいつも声が聞こえてたんですか?

お恥ずかしい……すみません」

「そうよ~、だってとってもおっきな声だもの。

でもワンちゃんがクールでしょう?

最初、一人芝居をしてらっしゃるのかと思っちゃったの、うふふ。

でもいいじゃない、あなたとっても楽しそうだもの」

「たはは…すみません。

あの、ほんと、どうもありがとうございます」

その後、ちょっとした犬談義(と言ってもご婦人は犬と暮らしたご経験はないそうだが)でもり上がり、お礼を最後に立ち去った。



ご婦人はしきりにマリリンをかわいがってくださり、そのことがとてもうれしく、ルンルンと胸を躍らせ散歩を再開させたのだが、何か釈然としないものがむくむくと込み上げてきた。

おっきな声で……

ワンちゃんクール……

一人芝居……

はたと立ち止まった。



確かに私は、いつもマリリンに話しかけながら散歩をしている。

最初から最後まで、ずーっとだ。

それに対し、マリリンは飽き飽きしているのか、散歩とはそういうものだと思っているのか、あるいは、もはや私の声は彼女の中で空気の一部と化しているのか、とにかく、一貫して無視を貫いている。

「マリリンや、楽しいねぇ」というごく一般的な声かけに始まって、時には季節の移ろいを、時には動物たちについて、時には日々考えていることをつらつらと。

一切反応のない彼女の後頭部や背中に向けて、しゃべり続ける。

内容によっては、話すうちに自分の中でもり上がってしまい、多少は大きな声になっていたこともあるかもしれない。

家に帰り着いたときには、若干、声がかすれていることさえある。

そして時には、歌も歌う。

好きなバンドの楽曲を口ずさむこともあれば、

♪ マリマリ マリマリ マリ坊ちゃん

  マリリン マリちゃん マリ坊ちゃん♪

という自作の歌を、延々と歌い続けることもある。

ここ数日は、斉藤和義さんの『カーラジオ』が頻繁に登場している。

たいへん熱くて、ノリのいい楽曲だ。

「あぁ そうだな 世界中 ロックンロールが足りないのかな?」

という歌詞が気に入りで、それを激しく連呼する。



これまで、散歩中の自分の姿というものを、客観視したことがなかった。

確かに、しゃべりすぎていたかもしれないし、歌い過ぎていたかもしれない。

見ようによっては、一人芝居の様相を呈してさえいたのかもしれない……。

考えながら、リードを持つ手に、思わず力がこもる。

犬の散歩ってのは、どの犬飼いも皆そのようなものだと思っていた。

が、もしかすると、私は少しばかり、度が過ぎていたのではあるまいか――。

何か妙に不安になり、マリ坊へすがるような視線を向けると、ワンちゃんクールで徹底無視。

頑なに背を向け、草の中へ鼻を突っ込んでいた。

…………。

まあ、いいか。

だって、楽しいんだから。

うん、とってもいいことだ。



「マリ~! 行くよ~!」

元気よく声をかけ、やわらかな冬の陽を背に、再び歩き始めた。





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| マリリンの暮らし | 07:56 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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肉球に振りまわされて





週末のこと。

めずらしく気温が低く涼しかったので、久しぶりに明るい時間の散歩を楽しんでからお出かけしましょ、ということになり、お昼頃、みなで家を出た。

彼女の様子がおかしいと気づいたのは、玄関を出てすぐのところ、最初の匂い嗅ぎスポットである電柱に立ち寄ったときだ。

いやに長い。

初めは、気になる匂いがあるんだねぇ、などと笑っていたものの、いっこうに終わる気配のない嗅ぎっぷりに、首を傾げる。

じっと観察してみれば、時折ちらりとこちらを窺ったりして、ぜんぜん集中していないじゃないか。

ちょっと何なのさ、ほら行くよ、とリードを引くと、

「ひゃわわん!!」

甲高い鳴き声をあげた。

え!? え!? 何? どうしたの!?

2人そろってオロオロと狼狽し、みっともない格好で彼女を取り囲む。

呼吸を整え、何が起こったのかを考えた。

今の鳴き声からすると、どこかが痛いのだろうと判断し、その場所を探るため、そろりそろりと、歩かせてみる。

すると……。

Σ(゜Д゜)

右の前足をかばって歩いてる!?

ひどく痛そうに顔を歪め、ガクンガクンと妙なリズムをとりながら、少し歩いては、

「もうだめ、アタシぜんぜんだめ、地球がひっくり返っても歩けない」

みたいな顔で立ち尽くし、私たちを見上げている。



これはヤバイ。

おそれていたことがついにやって来た。

この子の生命線である前足が、永年の負担により、とうとう不具合を起こしたのではないか。

あわわ、あわわ。

スマホを取り出し、震える指で、かかりつけの病院に電話を掛けた。

受話器の向こうから、

「今からでもこちらは構いませんが、あと3分で受付終了時刻になりますので、おそらく時間外料金になってしまうかと思いますが」

優しいお姉さんの声が聴こえた。

私たちは、寸分の迷いなく、それでいいです、お願いします!と、何か事故にでも遭ったかのような切迫感で言っていた。

後々よく考えてみれば、4時間待てば午後の診察が始まるわけで、足以外は元気であるマリを、先生のお昼休みを遅らせてまで緊急に診察していただく理由など、どこにもないのだった。

要するに、ひと言で言って、パニクっていた、というわけだ。

マリリンを迎えて、早4年。

心配“症”だった過去を笑う余裕さえ出てきた私たちであったけれど、この日、実際にはまったく成長していなかったことが露呈してしまった。



病院に着き、時計を見ると、受付終了時刻を2分過ぎていた。

すみません、すみません、と謝り倒し、それでもこのときはまだパニクり最中だったため、午後出直しますという選択肢はまるでなく、謝りながらも、きっちり待合室に座った。

完全にモンスター飼い主である。

担当してくださっている女性の先生が、前の子の診察を終え、いつもの穏やかな笑みを浮かべながら、待合室にやって来た。

そして私たちを見、

「あぁ、受付終了後に来たっていうのは、マリリン一家かぁ~」

いかにもそう思っているような顔で、ふき出した。

先生すみません、すみません、と謝りつつ、やっぱり図々しく診察室へ入れてもらう。



頭の中を、さまざまな病気、怪我の類いがめぐっていた。

前足がだめになったら、寝たきりになってしまうのか。

そうしたら、銀父さんに四輪の車いすをつくってもらおう、うん、そうだ、大丈夫、マリリンは楽しく生きていかれるさ!

そこまで考えたところで、診察が終わった。

ものの3分だった。



あれ? あのぉ、先生、レントゲンとか、なんかわかんないけどエコー的なアレとか、いろいろやんなくていいんすかね?



「うん、大丈夫ですよ~、触った感じでは、骨も関節も異常ないです。

唯一心配されるのは、脊髄の影響が前足に出て来るということ。

ただ、その場合、痛みはほとんどなく、それよりも、歩くとき足がぐにゃりと妙な方向に曲がったりし始めるんですよ。

しかも、少しずつ症状が表れてくるので、今日いきなりということはないと思います。

この子の場合、そうした症状は今後も注意しておかなければなりませんが、現段階では、大丈夫だと思います」



えぇ~っとぉ、するってぇ~と、ひゃわわん!って鳴いて、すっごく痛そうに苦しそうにしていたのは……?



「肉球です、肉球の炎症。

ほら、この右足の肉球の間の皮膚のとこ、ポチって赤みがあるでしょう?

これが、地面を踏んだときに痛むんですよ。

この程度の炎症は日常的になってる子もけっこういるんで、痛みを感じる個体差があるんだと思いますが、まぁ、ほらマリリンちゃんの場合……ね、とても繊細だから」



父ちゃん母ちゃんは、そろって赤面した。

ほらマリリンちゃんの場合って言われたーー!

ね、のとこでクスッて笑われたーー!



果たして、病院や先生にご迷惑をかけ、時間外料金を支払い、寝たきりの生活まで考えて臨んだ診察の結果は、肉球の炎症。

抗生物質で細菌を退治しつつ、一週間くらいは散歩など無理しないように。

それで治療終了、とのこと。

……はい、わたくしたち夫婦は、4年前からまったく成長していなかったことをここに記します。



いや、でもでも、ちょいと言わせてもらえれば、ほんっとうに大げさなのだ、マリリンの痛みに関する訴えは。

狂犬病の注射ひとつとったって、まるでトンデモナイ暴力を振るわれたかのように、痛みに鳴く、いや、泣く。

この子のそうした性質を知ってからは、まったく感覚のないお尻の辺りに打ってもらうようになった。

下半身不随であることの最大の特権を味わう瞬間だ。



マリリンや、あのぉ、もう少し、その症状に合わせたレベルの騒ぎ方をしてくれないかねぇ。



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「無理です。あたしゃ、背骨が折れたとき、この世の激痛ぜんぶ引っかぶったからね。そのトラウマが身体に沁み込んでんだよ。ちょっとでも痛いと、あの地獄を思い出すんだよ。だからビンカンなの」


いや~、マリ坊、それ言われちゃうと、わたくしたちは、なんも言えねぇ状態になるんだけどね。

でもさぁ、おやつの袋出したときにさ、ティッシュを取ろうと振り返った拍子に袋の角がちょんと当たっただけで、ひゃあああおぉ!!ってのは、どうなんすかね。

あれはほんとに痛かったんかい?



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「さあ、どうだかねぇ。ただひとつ言えるのは、そのあと母ちゃんが思いっきり謝って、そんでおやつをいつもの倍くれたってことだよ」



とにもかくにも、前足が無事で良かったです。




| マリリンの暮らし | 08:50 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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花一輪と、おばあちゃん

『おかえり!ユキ』に、たくさんの反響をいただき、本当にありがとうございます。

さまざまなところで生まれるつながりに、ありがたい気持ちでいっぱいです。

8月に静岡で開かれる平和学習会の中で、本書を朗読してくださるとのご連絡も頂戴いたしました。

犬の献納から保護犬へ。

このお話が、少しずつ、全国へ飛び立ち始めているようです。

ようやく送り出すことのできた安心も手伝って、一番ぼんやりしてしまっているのは、私かもしれません



先日、「市民タイムス」さまと、「松本平タウン情報」さまが、『おかえり!ユキ』を取り上げてくださいました。



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市民タイムスさま

戦争絵本シリーズに込められた思い、そして、犬の献納から現代の保護犬へのつながりを、丁寧に書いてくださっております。



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松本平タウン情報さま

少し前に、電話取材があり、それをもとに記者の方が書いてくださいました。

申し訳ないほどたどたどしい私の受け答えの中から、伝えたいことをすくい上げ、記事にしてくださっております。



8月は、戦争について考える機会の増える時期でもあります。

犬の献納のことを、多くの方に知っていただけますよう、願っております。

思いを寄せてくださるすべての方に、心より感謝申し上げます。



そして、最大級の感謝で包みたいのは、やはりこの存在。




「そうだよ! あたしだよ! すべてあたしのおかげだよ! あたしが犬のいろんな問題、広めてんの! ちょっとそこんとこちゃんとしてくんなきゃ、困るんだよ!」



ってな具合に、マリ坊は、元気いっぱいです♪

冬の間の、あのひどい日々は一体何だったんだろう、と首を傾げてしまうほど、元気に過ごしてくれております。

もちろん、犬並みに暑さにはへばっているし、恐怖のカミナリがやって来れば大変な事態に陥るけれど、それでも、この子の神経にとっては、冬よりも夏のほうが、よほど良いようです。



まだ梅雨明け前の写真ですが、久々にお散歩の様子を載せたいと思います。



この日、絶好調だったマリリン。



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いつもよりたくさん歩き、たくさん嗅ぎます。

鼻から脳へ、良い刺激をビンビン送っていると……。



「あ~! ほら、おとうさん、あの犬だよ! あの犬が来たよ! ほら、犬、犬!」

向こうから、“犬”の連呼が聴こえます。



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「え? 確かに犬ですけどもぉ~」



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「あ~!! おじちゃん、おばちゃん!!」

一瞬にして、この笑顔。



マリリンの視線の先には、大きく手を振る年配のご夫婦が。

仲良く庭の手入れをなさっていたようです。

このご夫婦は、以前も庭から声をかけてくださって。

その際、マリリンの背骨のことや、車いすマリリン号について、お話させていただいておりました。

以来、たまにお会いすると、マリリンのことをかわいがってくださいます。

「がんばってるね~! ほんとにいい子だ!」と毎度ちやほやされ、マリ坊は有頂天。



そしてこの日は、やや妙な展開に。

庭に咲いている立派な花を一輪、おばさんがポキッ!と折り、

「これ持ってって!」

??

「ほら、この子、いい子だから!」

おじさんも、「おぉ!持ってけ、持ってけ。かわいい犬に、花を一輪あげましょう♪」

などと、節をつけて、歌うように言います。

あ、ありがとうございます~!

たいへん恐縮しつつ、ありがたくいただきました。



と、そこへ。

手押し車のおばあちゃんが、ヨロヨロと通りかかりました。

腰は90度に曲がり、手押し車を押すというより、ほとんどもたれかかっています。

「はぁ~、暑い、暑い。やんなっちゃうねぇ」

しわがれた声で、大きなひとり言。

すると、おじさんが、

「あ、ばあさん、ばあさん! なんだ、また病院かい? 暑い中、大変だねぇ」

どうやら、お知り合いの様子。

「あのね、このおばあちゃん、もう96! すごいでしょう?」

おばさんにそう言われ、私も、えぇ!とびっくり。

96歳で、自分で歩いて病院に行くとは、なんて元気なんでしょう。

いや、病院に行くんだから、元気というのもアレだけれど、でもやっぱり、元気。



ひと通りみんなで会話を楽しんだ後、じゃあねと病院に向かおうとしたおばあちゃん。

そこで初めて、マリリンの存在に気づいたようです。

マリリンは、このおばあちゃん、いつちやほやしてくれるんだろう、とばかりに、今か今かと期待の目を寄せていました。

すると。

「あらぁ~! あんた、車せおって、どこ行くの!」

予想もしなかったセリフに、マリ坊、きょとん。

96歳、さすがです。

「いや、せおってるっつーかさ、ほら、車いすだよ、車いす。車いすに乗ってるの!」

おじさん、フォロー。

「人間も犬もさ、アレだよな、どっか悪くなってもよ、工夫して生きんだよな。ほら、ばあさんと同じだよ、ばあさんもこの犬も、がんばって生きてるっつーわけだ」

そんなおじさんの言葉をまるで無視し、おばあちゃんは、マリリンに言います。

「ちょっと見ない間に、おっきくなったねぇ~!」

え……?

「おっきくなった、おっきくなった! びっくりだ! 仔犬んときは、こんなだったもんねぇ」

そう言って、片手でふわりと小さな円を描き、私に笑いかけます。

どうやら、ほかの犬と間違えているようです。

私は、そうですね~ほんとうにおっきくなりました、と言い、おじさんおばさんも、目くばせをしながら、うんうんと頷きました。

私たちの間に、なにか一体感のようなものが生まれ、ただひとりビミョーな顔をしているマリリンをなだめながら、みんなでおばあちゃんを見送りました。



おじさんとおばさんにお礼を言い、私たちも、その場を後にします。

別れ際、もう一度ちやほやしてもらったので、マリリンは再び有頂天。



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「あたし茨城で捨てられたのにさ、仔犬んときとか言われて意味不明だし! でもなんか好き、あのおばあちゃん♪ おじちゃんもおばちゃんも、大好き!」



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お決まりのパターンで動きたがらないマリ坊を引き連れ、おさんぽ再開。



少々困ったのが、花一輪。

着ていた服にはポケットがなく、マリリン号にも茎を差し込めるようなところはありません。

手で持って歩くしかないのですが、これまた、けっこうな大きさのお花で……。

なんだか、散歩途中で、勝手に人の家の花をポッキリやっちゃった感が満載で、ヒジョーに気まずい。

すれ違うみなさん、怪訝な顔で、花→マリ→私、の順にじろじろと眺めまわします。

その視線に、えへら、えへらと、愛想笑いを振りまきつつ、足早に家を目指したのでありました。



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「イシシ! いつもより遅く歩いてやったの!」




| マリリンの暮らし | 10:43 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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頼りにしてます~♪

絵本『おかえり!ユキ』を読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます。

温かなお言葉、ご感想など頂戴しておりますこと、重ねて心よりお礼申し上げます。

読んでくださった方が、人に差し上げたいとご注文くださったり、さっそくお知り合いに紹介してくださったり。

本書に込めた思いが、少しずつ歩き始めたことに、深い感謝の念を覚えずにはいられません。



『おかえり!ユキ』についてブログに記して以降、「軍用犬のお話ですか?」とのご質問を多く頂戴いたします。

これは、軍用犬とはまた別の、一般家庭の飼い犬たちのお話です。

今の生活の中では信じ難いようなお話ですが、70年前のこの国で、こうしたことが行われておりました。



たかが犬の話ということでしょうか、あるいは、後ろ暗い事実をなかったことにしたいためでしょうか、これまで、犬の献納について、多くは語られてきておりません。

当時の犬たち、飼い主たちの思いが、知られないまま、時とともに消えてしまうのは、あまりに無念に思われます。

どうか、後世に、語り継がれてゆきますように。



犬の献納から、保護犬へ。

絵本を書き終え、月日の経つごとに、改めてそのつながりを感じております。

ひとりひとりの力は小さなものかもしれませんが、その力を地道に重ね合わせ、結実に至ったとき、動物たちの未来はきっと変わっているはずだと、信じたいと思います。





          





さて、ここからは、マリリンの登場。

先日、具合が悪くなって、進めていた作業をいったん中断し、横になると、どこからともなくマリリンが現れ、寝ている私の顔の前で、くるくるどすん、と丸まった。

いつの頃からだったろうか。

マリ坊は、よくこんな行動をするようになった。



我が家に来たばかりの頃は、私の体調が絶好調だろうと絶不調だろうと、まるで関係ない様子だった。

孤独なイヌといった風情を身にまとい、目も合わせず、ひとりたそがれていた。

マリリン、具合悪いよ~、と弱音を吐いても、ちらりと一瞬、見やるだけ。

すぐに1匹の世界に戻る。

それが、1年過ぎ、2年経ち、だんだん家族になる中で、変化が生じた。

どうやらこのヒト、しょっちゅう具合が悪くなるらしいってなことを、把握したようだ。

元気に作業をしている間は、いつも通り1匹でたそがれているけれど、私の調子が悪くなり、横になったり背中を丸めたりしていると、すぐにヨロヨロやって来て、くるくるどすん、と寄り添ってくれる。

照れがあるのか何なのか、特に話しかけてもこないし、どすん、の最終形は、常に私にお尻を向けている。

具合が悪い中、眼前にお尻を見せつけられるという、非常にビミョーな展開。

けれど私は、ありがたくて、ありがたくて、お尻の前で、いつも涙をこらえる。





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私の視界は、こんな感じ。

オムツのお尻の愛おしさったらない。





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こんなとき、マリ坊の背中は、とても大きく見える。


なんだか、


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「大丈夫。すべてアタシにお任せなさい」

と言っているような気がして、安心する。

たった5キロの、しかも、背骨がかっきりと折れちまった小さな身体に、寄りかからんとする飼い主なんて、最低じゃないか。

そう思いながらも、この背中を見ていて、ふと、口に出てしまった。

「頼りにしてます~♪」



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途端に、困惑顔になった。

具合悪そうな母ちゃんを慰めてやろうと思ったものの、実際に頼りにされるのは、たいへん困るらしい。

そりゃ、そうだ。

ごめんごめん、母ちゃんがマリリンを守るからね。

しっかりするからね。

そう言うと、「当然だ!」とばかりに、ふんっと鼻を鳴らし、いそいそ立ち上がって、ふたたび窓辺でたそがれ始めた。




| マリリンの暮らし | 09:53 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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ビバ!伊奈町 その2

おかげさまで、マリリンの下痢は、数日で良くなりました。

大雨の日を中心に、影響が出ていたように思います。

昨冬、三か月半にわたる下痢の間は、寒さのみが原因と思われておりましたが、もしかすると、寒さだけでなく、天候、気圧等のちょっとしたきっかけで、神経がやられてしまうようになってきているのかもしれません。

この子の残存神経に、どんな変化が起こっているのでしょう。

てんかんとの付き合い方を教えていただいた、私たちが信頼を寄せております方に、梅雨の時期も心配だね、とのお言葉を頂戴していることもありますので、これからの時期、この子の神経に注意を払ってまいりたいと思います。

日本の四季は素晴らしいけれど、マリリンの神経にとっては、厳しい環境ですかね。



さて、前回の続きです。

3週間ほど前の、元気いっぱいのマリリンをお送りいたします♪



                    



伊奈町のバラ園に遊びに出かけ、ゴキゲンに園内を散策するマリリン。

元気に歩く姿をちやほや誉めそやしながら後を追う、親バカ飼い主2名。

そんなマリリン家の面々をさておいて、この日もっとも注目を集めたのは、もちろん、車いすマリリン号であった。

行く先々で、みなさんの視線を一身に集めるハイテクマシンは、いつものように自在に地面を転がりながら、まんざらでもないらしい様子で、得意げに小回りを披露する。

銀色の車体を艶やかに光らせる彼(彼女?)に対する、こうした注目はいつものことだけれど、伊奈町では、これまで経験したことのないひと時が待っていた。



駐車場から園に入るまでの間、そして園内を散策中も、たくさんの人に声をかけられ、また遠巻きに、恋人同士やご家族の話題になっているようだったが、なんと、360度どこからも、「かわいそ~」が聴こえて来なかったのだ。

このブログにはたびたび綴ってきたけれど、マリリンは、ひとたび外出すれば、どこへ行っても、「かわいそ~!」 「うわぁ…悲惨~」 「なんだってこんなことに…!」などといった言葉を向けられる。

どうやら、マリリンの場合、高齢でもなければ、病を抱えた介護のようにも見えず、つまりは、そうなるはずじゃないのにそうなってしまった状態、みたいなちぐはぐな感じが、イコール不幸というイメージをつくり出し、いっそうこうした言葉を掻き立てるらしい。

何でこんなことに!と顔をしかめる人の内側には、何かしらの事故やミスでこのようなことになったのかという、飼い主の過失なり注意不足なりを問う気持ちが漂っていて、いずれにせよ、本来は負わなくとも良かった苦しみを負わされた犬、といった印象を受けるようだ。

かわいそうなどの言葉を投げかける方々に敢えて話しかけ、会話の中から、その胸のうちを探ってみると、上記のような心理が働いているのだということが、よく伝わって来る。

なるほど言われてみれば、ちぐはぐさに動揺し、悲しみや憤りなどの感情が込み上げ、同情のあまり、瞬発的にあれらの言葉が口を衝いて出るのであろうと、そうした場面に出会うたび、一応の理解に至る。

とは言え、いくら頭で納得してみても、かわいそうだの何だのといった言葉は、やはり、どうしようもなく私たちの胸をしんとさせるのだった。



当然、バラ園に行くのも、ある程度の覚悟を持っていた。

人の目に触れる場所へ行けば行くほど、そういう機会は増えるだろう。

けれども、憔悴を極めた冬を乗り越え、マリリンは、ようやく元気を取り戻したのだ。

彼女とめいっぱい楽しい休日を過ごしたいという思いを、無責任に放たれる言葉のために、どうして諦めることがあろうか。

この子が楽しく過ごせるならば、それでいい――。



そうして、家族だけで一日を楽しむつもりで、バラ園に臨んだ。

が、出だしからの思いがけない展開に、調子が狂い、あやうく全員ですっ転びそうになった。



まず、入場券売り場の女性に温かい言葉をいただき、そのやりとりを見守っていた周囲の方々から、「いってらっしゃ~い!」などと手を振って送り出される。

園内に入ると、四方八方から視線が集まるのだけれど、遠巻きに眺める人たちも、みな一様に、目尻にやさしい皺をにじませ、うんうん、と頷いて。

子どもたちは、意地悪な顔ひとつせず、やんややんやと応援の声をかけてくれる。

どこからともなく、「うわぁ~!」 「ちょっと見て!」などの言葉が聴こえてくるが、同じ言葉でも、いつも掛けられるそれとは、まるでニュアンスが異なった。

いつもは、うわぁ……

この日は、うわぁ

そんな感じ。

誰ひとり、眉間に皺を刻んでドン引きの目を向けたり、黙りこくったまま自らの好奇を満たすまで執拗に見物したり、そんなことはしない。

すれ違う人たちは、わっと目を見開いて、軽い興奮に息を弾ませつつ、

「がんばってるね~!」

「ひゃ~!すごい!がんばれ、がんばれ~!」

「カッコイイ~!」

前向きな言葉の、オンパレード。

私たちの頭は、大混乱。

戸惑いながらも、

「ありがとうございまぁ~す!!」

あちらこちらに、笑顔を向ける。



私 「ねぇ、一度でも、かわいそうとか悲惨とか、聴こえた?」

夫 「いや…聴こえない」

私 「こんな幸せって、ある? この後トンデモナイ仕打ちが待ってたらどうしよう」

夫 「う~ん、否めないね」

この状況を、にわかには受け入れ難い、飼い主2名。

だって、こんなことって、経験になかったんだもの!

思わず、

♪こんなことは~なかったぁ~すこし前まで~は♪

と、吉田拓郎の『リンゴ』を口ずさんでしまった。



休憩を挟みながら、のんびりと園内を散策したが、結局この日、最後まで、ただの一度も、かわいそうを言われなかった……。






「ビバ!伊奈町」



マリ坊は、そりゃあもう、ゴキゲンったらなかった。

明るい応援にいちいち応え、風を切って歩く。

もっとも瞳が輝いたのは、「カッコイイ~!」と言われたときだ。

鼻をツンと上げ、おちょぼ口でおすましし、車いすをリズミカルに振って、なにかモデルウォークのようになっていた。



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「ちょいと奥さん、きいとくれよ! みんながね、明るく声をかけてくれるんだよ。 こんなことって、あるんだねぇ」


ゴキゲンいっぱい、胸いっぱいのマリリン。

そんな彼女の様子に、すっかり浮かれた飼い主2名は、浮かれついでに、バラとマリの記念撮影をすることにした。

車いすごとヨイショと持ち上げ……はい、こっち向いて~!



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「向いたよ」



途端に、テンションがた落ち。

すっと静まり返ってしまった。



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「何かしら、このヤラセ感」



そんなこんなで、バラ園と人々のやさしさを堪能した私たちは、おなかをグウグウ鳴らしながら、ある場所へ向かった。



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以前、こちらの記事で登場していただいた、tack cafeさん。

バラ園のすぐ近くに位置する、マリリンもお気に入りのカフェ。

テラス席が犬OKとなっており、田園風景を見渡せるその空間は、すこぶる居心地が良い。



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「初めてのときは緊張してピョロピョロ鳴いちゃったけどね、今じゃあすっかりアタシの庭なの。 さ、とりあえず、ご飯にしてちょーだい」



犬メニューはないので、お店の方にご許可をいただいてから、持参したマリ用のごはんをあげさせてもらう。

母ちゃんが袋を開けるのに手間取っていると、



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「ねむくって、ねむくって……」


マリ坊が舟を漕いでいた。

バラ園でたくさん遊んだもんね。

ごはん食べたら、ゆっくりおやすみ。



マリのごはんを済ませたところで、人間の食事が登場。



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自家製の野菜が、みずみずしく器を彩り、目もおなかも満たしてくれた。



ふと足もとを覗くと、



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こんな。



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「風に吹かれて、アンニュイ、アンニュイ」


マリリンなりに、何か考え事でもしているのかと思えば、



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「あたしゃ、もう、ねむくって、ねむくって……」


だよね(笑)



こちらのカフェでも、かわいそうだの何だのという言葉は、誰からも向けられなかった。

帰りの車の中で話をしていて気がついたのだけれど、思い返してみれば、これまで幾度も伊奈町を訪れ、ロング散歩を楽しみ、カフェにお邪魔したが、心が沈む思いをしたことは、一度もない。

何だか妙に、身体の奥から力が湧いて来た。

それに鼓舞され、翌日、意気揚々と出かけたら、「かわいそう…」 「うわぁ…」 「なんてひどいこと…」のオンパレードで、いささかげんなりしたのであった。



ビバ!伊奈町 ヽ(´▽`)ノ



| マリリンの暮らし | 10:26 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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