今日も明日も、マリリン日和

センター負傷棟から救出された雑種犬、マリリン。車いすを軽快に乗りこなすマリリンと、夫と、私。家族の日々の記録です。

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18回目の、おめでとう♪

休日、Woo Pee Cafeを訪れたマリリン。

この日は、特別なイベントが待ち受けていました。





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「みなさ~ん、元気ですかぁ~! ボクですよ」



は~い、久々に登場してくれました、チャーリーくんです!




マリ 「あひゃ~! チャーリーくんじゃんよ! よくがんばってるねぇ、アンタ」

チャー 「マリリンさんも、冬の間てんやわんやだったみたいで…だいじょぶですか」

2匹でしばしの病気トーク。

お年寄りの会合の場と化した病院の待合室のようです。



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「ボク、まだまだがんばってるよ」


ほんとだね~!

チャーリーくん、身体の調子はどうかな、と心配していましたが、こんなに元気な姿を見せてくれました~!

オムツからぴょこんと伸びたあんよが、マリリンのそれとそっくり。

かわいくって、かわいくって、胸がうずうず。

高齢の犬が「あひー!」ってなるような衝撃は与えちゃいけないと思って我慢したけれど、かぶりついてもみくちゃにしたい心境です。



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パパさんママさんの間に身体を横たえ、安心しきった様子のチャーリーくん。



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「ボク、すぐに眠くなっちゃうんだぁ」


穏やかな眠りに引き込まれようとするチャーリーくんの目の前に、勢いよく迫り来る白いやつ。



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マリ 「パパさ~ん! おやつぅ~!」

チャー 「あ、ダイゴくんから聞きましたよ。 必殺、イヌ無視おねだり攻撃ですね」



チャーリーくん、ごめんよ~

マリ坊ったら、チャーリーくんが微動だにしないのをいいことに、ずいずいとパーソナルスペースに踏み込んで。

イヌという存在は完全無視し、飼い主さんのほうへ猛アピール。

我が子のように甘えまくるという手法を確立しています。



と、そこへ、みんなの期待を一身に背負った例のものが登場しました!



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じゃ~~ん!



店長さんの思いが込められた、特製バースデーケーキ。

ケーキの上にまばゆく輝くのは、「18」のロウソク…。



そうなんです。

この日のスペシャルイベントは、チャーリーくんの、18歳のお誕生日会だったのです!

ちょいとちょいと、18歳ですってよ!

すごいねぇ、チャーリーくん♪

去年、17歳のお誕生日をお祝いしたとき、胸いっぱいの喜びのちょっとした隙間に、来年はどうかな…と幾ばくかの寂しさが浮遊しておりましたが、あれから1年、見事に生きぬいてくれています。

うれしいお誕生日、さぁ、始まるよ~!



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マリ 「みなさん、よく覚えていてくれましたね、今日はあたしの誕生日です!」

チャー 「違いますよ」



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マリ 「ちょいとアンタ、いまだかつて見せたことのない鋭いツッコミ飛ばしたね…」

チャー 「ハッ! いや、あの、ここ大事なとこなもんで」



1年前と変わらぬ展開を見せる、平和な2匹です。



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マリ 「う~む、マテない…かっさらいたい…いますぐ食らいつきたい…!」

チャー 「何だろう、この不穏な空気…。 ま、いっかぁ、ケーキあるしぃ♪」




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マリ 「いひひ…。 みんな見てないね、しめしめ…」

チャー 「あはぁ~♪ ケーキ、ケーキ♪ うれしいなぁ~っと♪」




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マリ 「今だーーー!!」

チャー 「あっ ΣΣ(゚Д゚;)」




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マリ 「へい、一丁あがりぃ~!」

チャー 「ボ、ボクのケーキ……(´;ω;`)」



ヒィ~~~ッ

さーせん!

マリリン家一同、全員で詫びを入れさせていただきやすっ(泣)



絶不調の冬を乗り越えたら、以前よりもさらに食べることへの執着が暴発しているマリリン。

ヒトサマならぬイヌサマの大事なお誕生日会でもやっちまいましたよ…。



さぁさ、貴重な「18」のロウソクに火をつけて。

みんなでバースデーソングを歌います♪



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マリ 「あら? 何だい、この妙な間。 食べちゃいけないの?」

チャー 「大変だよマリリンさん。 どーでもいい時間が始まっちゃったよ」



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マリ 「はい、ちょっとヤメヤメ! ソングは禁止だよ! 早くしてちょーだい!」

チャー 「ですです、ソング禁止。 準備は整った!」



おまっとさんでした~。

チャーリーくん、どうぞ~!



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「んまんまっ!」



チャーリーくんの食欲に目を瞠る私たち。

食欲はけっこうあるよ、と聞いてはいたものの、これほどイキイキと食べてくれるとは!



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「おいしい~! これ、すっごくおいしいよ」



幸せオーラをきらきら放ちながら、完食してくれました♪



その真向いでは、食への情熱をギラギラほとばしらせながら、1匹の白いケモノが…!



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「あぁ! いよいよ…いよいよだわ! 待ち焦がれたこの瞬間が…」



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「キターーーッ! あたしゃ、このために生きてんだよっ!」



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「もいっちょ行くよ! ドキドキ…まだまだ…マテマテ…」



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「キターーーーーッ!!!」



言うまでもなく、完食です。



大喜びの2匹を囲み、人間4人、うれしいうれしいひと時でした。



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「みなさん、いつも応援ありがとう。 ボク、精いっぱい生きるからね。 見ててね」



チャーリーくん、18歳、本当におめでとう。

こんなにうれしい誕生日ってないよね、とみんなでしきりに話しました。

人間の誕生日も、もちろんうれしくてありがたいものだけれど、寿命を一気に駆け抜けてゆく動物たちの誕生日は、格別の感慨がございます。

パパさん、ママさん、娘さんたちの愛情に包まれて、18年のときを生きてきたチャーリーくん。

2才で心臓病を患い、8年生きられればいいと言われ…。

10才を迎えたとき、もういつどうなってもおかしくないな、と覚悟していたら、なんとそれが折り返し地点だったとは!

「ほんとにもう、ありがたくって、ありがたくって、お釣りがじゃらじゃら来ちゃう」

目尻をふっと潤ませ、ママさんはそうおっしゃっておりました。



チャーリーくん、幸せだね。

今この瞬間に輝く命よ、ありがとう。

来年も、盛大にお祝いしようね♪

目指せ、花の20代!(^^)!



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『アンジュール ―ある犬の物語』

ここ最近、とあるきっかけにより、さまざまな絵本を手に取るようになった。

私が好きなのは、大人の胸にもしんしんと迫ってくるような、そんな作品だ。

先日出会ったこちらの絵本には、夫とふたり、涙を尽くした。





アンジュール―ある犬の物語アンジュール―ある犬の物語
(1986/05)
ガブリエル バンサン

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物語は、野の道を疾走する車の窓から犬が投げ捨てられる場面で始まる。

ガブリエル・バンサンの息も吐かせぬデッサンが、野良になった犬の姿を追ってゆく。

この絵本に、言葉はひとつもない。

孤独をまとい、飼い主の姿を追い求め、次第に絶望してゆく犬の、その表情、その姿、その呼吸。

うなだれる犬の背に、震える指をそっと這わせては、深い悲しみに引き込まれる。

胸が激しくかき乱されながらも、ページを捲らずにはいられない。

デッサンのみによって語られる犬の物語に、私たちは心を奪われ、モノクロの濃淡の世界へ、幾度も身を投じた。

最後には、孤独を包み込む救いが用意されていて、つらい涙は、温かな光へと変わる。

素晴らしい、本当に素晴らしい一冊を抱きしめることのできた幸運に、心から感謝したい。





こうした物語に触れるたび、私たちの胸に込み上げるのは、やはりマリリンのことだ。

何年もともに生き、彼女にとっておそらく唯一の頼りで、最も愛する存在だったであろう飼い主から、真冬の厳しい地にその身を打ち捨てられ、どれほど戸惑い、怯え、悲しみ、絶望したことだろう。

感覚の失われた下半身を、必死に引きずりながら、小さな胸で、何を思っただろうか。

保護された当時の、彼女の荒みきった目の奥に映る苛酷な体験を思うたび、今でも私たちは、正気を失ってしまう。

彼女の身に起こったすべての出来事を、彼女の感じたすべての悲しみを、この胸に抱きしめたい。

過去も、いまも、そして未来も。

愛おしい、愛おしい、私たちの娘よ。










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潔くも繊細な、ダイゴくん

少し前のこと。

マリリンの体調が良い日、ここぞとばかりに張り切ってお散歩に出かけると、大好きなお友だちに会うことができました。

ボーイフレンド(の中の1匹)である、ダイゴくん♪



冬の間、庭で遊んでいる時間はほとんどなく、専ら室内生活となっているダイゴくんなので、こうして顔を合わせるのは、本当に久しぶり。

ふらりとダイゴくん家の近くを通ったら、偶然あちらもお散歩から戻って来たところだったのです。




「きゃは~!!!」


出合い頭に、チュッ



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振り向きざまに、チュッ



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正面から、チュッ


この2匹、相変わらず、呆れるくらいのラブラブで。

でも、こんなに熱いチュウをするわりには、マリリンときたら、最初ダイゴくんが大喜びで駆け寄って来て、ちょっと匂いを嗅いだ瞬間に、ガウワウワウワウ!!なんて怒り散らしたのです。

まったくもって、気まぐれのエバリん坊ったらありません。

怒られた瞬間のダイゴくんの驚きようは、もう気の毒なほど。

好き同士だと思っていた彼女からの突然のお怒りに、えぇ~??と、あからさまな混乱を見せていました。

で、そんなとき、ダイゴくんは必ず、母ちゃんの顔を真ん丸の目で見つめ、「状況を説明してもらえませんか」という具合に訴えてくるのです。

この日も、マリリンのお怒りにたじろぎながら、いそいそとこちらにやって来て、「どうしたんですか、マリリンさんは。ぼく何か悪いことしましたか」と真剣に問いかけてきました。

ごめんねダイゴくん、この子は勢いが苦手だから、瞬間的にキレちゃっただけなの、もう大丈夫だと思うよ。

そう言うと、ホッとした表情を見せ、改めてマリリンに近づくダイゴくん。

やさ~しく匂いを嗅いで、時折チラリとこちらを窺います。

「飼い主さん、こんな感じで大丈夫ですか」とでも訊いているように。

そうした彼の目を見つめていると、なんとも言えず温かな心地がするのでした。



後々、こんなやりとりについて家で話すと、父ちゃんは、「ダイゴくんって、自分やほかの犬について、誰よりも犬だと思っているよね。その認識がすごく強い」などと言いました。

??と首を傾げると、彼は続けます。



「マリリンを相手にしていて何かあったときに、飼い主のほうにお伺いを立てるって、なかなかないと思うよ。

普通は、マリリンの存在とだけ、仲良くしたり怒ったり、そういうやりとりをして、感情をダイレクトにその犬に向けるでしょ。

でも、ダイゴくんは、マリリンのことで何か許可がいるときや困ったときは、飼い主を通さなければ、と思ってる。

マリリンそのものとは別に、それを管理する人間がいるってことをわかっているんじゃないかな」



おもしろい発想に、思わず声を上げて笑ってしまいました。

確かに、そういった側面があるかもしれません。

最近は、「うちの子は自分のことを犬だと思ってないからぁ~♪」という会話を至るところで耳にしますが、さすがはダイゴくん、そうした風潮とは一線を画し、あくまでも自分たちは犬なんだという認識をもって生きているようです。



そんなダイゴくんですが、犬としての凛とした潔さをそっと剥がしてゆくと、内側には繊細でやわらかな心が秘められていて…。

いろいろな方面に気を遣う分、自分の中に抱え込むものも少なくないのでしょう。

おじさんのお話だと、心がとても敏感で、日常的におなかをこわしてしまうんだとか。

お医者さんにも、頻繁に通っているそうです。

その小さな心で何を感じ、どんな思考をめぐらせているのかと思うと、その繊細さが痛々しくて、胸がきゅうっと苦しくなってしまいます。

もうちょっと、自由に気楽に、ダイゴくんの好きなように生きていいんだよ。



さて、久しぶりに会えた2匹の様子を、再び覗いてみることにしましょう。



おやおや、あれほどラブラブしていたのに、移り気マリリンときたら、もう興味を失い始めているようです。



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マリ 「ちょいとおじさん、おやつはどこ? この袋の中かねぇ」

ダイゴ 「マリリンさん、あの、ぼく、ほんとずっと会いたかったです」



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マリ 「ねぇ、おやつまだぁ~? しびれきらすんだけど、あたし」

ダイゴ 「あ、あれ? ちょっと、マリリンさん、ぼくはここに……」



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ダイゴ「ぜんぜん聞いてない…。びっくりするくらいに、きっぱりとした無視です」



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マリ 「おじさ~ん!好きぃ~!おやつくれたら、もっと好きぃ~!」

ダイゴ 「あ、今度はぼくの飼い主に。ぼくを通り越して、ぼくの飼い主に…」



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ダイゴ 「あの、マリリンさんの飼い主さん、これは一体…僕はどうしたら…」


ご、ごめんね~

ほら、マリ!

ダイゴくんのほう向いて!

ダイゴくんの繊細なハートに傷がついちゃうから!

ね、お願い、早く!



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マリ 「も~うるさいな~、しょうがないねぇ、まったく。ほらよ」

ダイゴ 「あ、マリリンさんがこっち向いた♪」



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マリ「はいはい、嗅いだ嗅いだ!あたしも暇じゃないんだからね、早くしとくれよ」

ダイゴ 「えへへ。マリリンさん、ぼくうれしい」


こんなやりとりに毎度笑ってしまう一方で、ダイゴくんのやわらかな心に傷がつかないか、それだけが心配になるのでありました。



ちなみに。

ダイゴくんのおじさん、どこか忌野清志郎さんに似ていて、会えるとちょっと気分が上がります。


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RADWIMPSと言葉の力

冬の間、冬季うつ病…もとい、神経の反乱で、





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こんなんなってたマリリン。



長い不調を乗り越え、春の到来とともに、すこぶる元気になった。



身体の具合の良し悪しでこれほど人相ならぬ犬相が変わるものかと呆れるほど、これまたべらぼうな笑顔を見せている。





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「もう若返っちゃって、若返っちゃって、大変なんだったら!」



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「イヌもヒトも、健康は腸から♪ 乳酸菌CM、待ってます!」



先週の中頃に気温が下がり、見事に下痢が復活したけれど、その後また元気を取り戻してくれた。



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せっかく体調が良くなったところで、今度は父ちゃんが忙しくなってしまい、「ちょいと父ちゃん、アタシと仕事、どっちが大事なの!?」と詰め寄らんばかりの白いヤツ。

もう少し落ち着いて来たら、お出かけを楽しみ、たくさんの刺激に触れてもらいたい。

マリリンが元気でいてくれると、家の中にパッと大きな花が咲く。

うれしい!楽しい!とこの子に感じてもらえる時間が、ずっと続きますように。





さて、ここからは、前回の続きを。



伊坂さん目当てに購入した雑誌『パピルス』であるが、偶然にも、「RADWIMPS」のボーカル野田洋次郎さんが巻頭特集を飾っており、胸が躍った。



私がRADWIMPSを知ったのは、4年ほど前のこと。

『有心論』という楽曲に出会ったことがきっかけだった。

何気なく耳を傾けたその独特の音楽世界に、私は一驚した。

この世界観をつくり出すのは一体どんなバンドなのだろうかと調べてみると、4人の青年たちであった。



すごい人たちを知ってしまった!とばかりに興奮して夫をつかまえ、話して聞かせた。

すると、

「RADWIMPSなら、CDもライブDVDも持ってるよ」

平然と言う。

ちょっとちょっと、こんなすごいバンドがあるなら、早く教えてよ!

そう騒ぎ立てると、夫は笑いながら、RADWIMPSについて、メンバーの情報やバンドの変遷など、詳しく教えてくれた。

夫も、彼らの音楽に注目している人間のひとりで、野田さんのソロ活動含めた音楽世界に興味を抱いていたのであった。



以来、夫から借りたCDやDVDに没頭していった。

彼らの音楽には、感性と才能と痛みが混在している。

作詞作曲を手掛ける野田さんが、多方面の意味で才知に長けた人物であろうことは、容易に想像できた。

既存の枠を飛び越え、自由に展開してゆく音と言葉。

4人それぞれの演奏技術の巧みさ、美しさには、瞠目させられるものがある。



後に、野田さんの音楽の源泉にはMr.Childrenの存在があることを知り、得心がいった。

もちろん、Bank Bandも好きとのこと。

Bank Bandは、RADWIMPSの『有心論』をカバーしている。

こうして音楽はつながってゆくから、おもしろい。




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パピルスのインタビュー中、震災後の世の中の流れについての話の中で、野田さんはこんなことを言っている。



「夢と希望という言葉がふたつセットで誰かの口から発せられた時点で、僕は耐えられなくなったりするんです。

誰々に夢と希望を与えるためにとか、もうほんとにやめたほうがいい。

その発言に対して人は責任をとれないし」



あぁ、と声をあげた。

自らの音楽に全面的なリスクと責任を負っている人だからこその発言だろう。

RADWIMPSについて夫と話す中で、しばしば彼らの腹のくくり方に話題が及ぶ。

目指すものを追求する際、きわどい表現方法を選択することも少なくないバンドなので、当然、多方面から批判を受ける。

けれども、その一貫した思いは、ブレない。

あらゆる批判を想定し、その全責任を負う覚悟が、バンドや支えるスタッフの方々から伝わって来る。



「夢と希望を与える」というフレーズについては、私もこれまでたびたび考えることがあった。

何かを行うときに、これが誰かを救う材料となったら…、これで誰かが何かを感じてくれたら…と願うことは当然あるし、ことさら、さまざまな分野で活躍する方々においては、それを目指さずして何になる、というところだ。

その人の何かによって、実際に誰かが、夢や希望を得ることもあるのだろう。

しかしながら、このフレーズには、危うい種がいくつか内包されている。

胸中をよぎるのは、おそらく野田さんと同種のものだと思うが、それらをこうした場で記すには、少々ナイーブな問題があり…。

なので私は、言葉に対する責任について、少し考えてみたいと思う。



言葉が自分の口から離れた瞬間に完結し、受け取った相手の胸の内には知らん顔、といった状況は、さまざまなシーンで見受けられる。

自らの発する言葉に責任を持つということは、とても難しいし、厄介で面倒だ。

人間の数だけ価値観が絡むのだから、正解も終わりもない。

だからこそ、言葉の力を考える。

故意ならもちろんのこと、場合によっては何ら悪意なく発せられた言葉であっても、肉体的暴力と同等もしくはそれ以上の苦痛を他者に与えてしまう。

そこに必要なのは、やはり想像力なのだろう。



物事の考え方や感じ方は、その人の生い立ちや経験など、バックグラウンドが多分に投影されるものであることを踏まえれば、自分の価値観のみによって人の心を切りつけるような物言いは、当然避ける必要がある。

それはそうなのだけれど、問題は、“事前の想像”が行き届かなかった部分のこと。

価値観がこれだけ多様化している中では、発言前に相手に対する想像を尽くすにも限界がある。

また、自分の体験して来なかった苦しみや痛み、そこから派生する物事の感じ方においては、どうしても想像が乏しく鈍感になり、しばしば思ってもみなかったところで、人を傷つけてしまう。

そういったことから、まず事前の想像が第一なのは前提として、それと同様に大事なのは、言葉を発した後なのではないか、と私は思っている。



コミュニケーションを通して、これまで気づかなかったことを、私たちは知り、感じることができる。

自分の発言によって得られる相手のちょっとした反応や、自分の中で生まれた心の引っかかりなど、胸に残った何者かを無視せずに、後から振り返ってみる。

こちらはまるで悪気はなかったが、表情のわずかな翳り、微妙に揺れた空気、あれはもしかすると、先方を傷つけたのではないか、苦痛を与えたのではないか。

だとすれば、なぜそうした結果になってしまったのか。

“事後の想像”をめぐらせる。

すべてを感じることはできなくとも、他者の痛みを知るきっかけにはなってくれるのではないだろうか。

日常的にそれをするのがしんどいならば、時折だっていいと思う。

自らの発した言葉の力、その影響を、良いものも悪いものも、ふと立ち止まって考えてみる。

時に耐え難い罪悪感や羞恥心、後悔に襲われ、決して楽しい作業ばかりではないけれども、考えることで、想像力は着実に身についてくるものではないかと思っている。



言葉の力におそれを抱くこと。

それを忘れてはならないと、誰かを傷つけたかずかずの悔恨とともに、自戒する。



話が逸れてしまったが、パピルスのインタビューの続きを、最後に少し。

野田さんは、自分から生まれるものを形にする作業が追いつかず、そこにいつも焦りを感じているそうだ。

楽曲を制作し、やりきったなと思うと同時に、あれもこれも形にしていないというのが多すぎる。

人生の時間制限の中でやっている、という感覚がいつもあるのだ、と。

満足することがないというのは、素晴らしいことだと思う。

痛々しいほどの感性を研ぎ澄ませ、その才能をぶちまけていってほしいと、かげながら応援している。







公式youtubeから、3つ動画をお借りいたします。



まずは、『おしゃかしゃま』

夫いわく、すべてのパートのアンサンブルにおける総合力が素晴らしい、とのこと。

2本のギターがバラバラなことをやっているようでいて、それらが重なり合ったときの絶妙。

ベースのスラップ奏法のプリングを入れるタイミングの巧みさ。

ドラムのシンプルなリズムの中に凝縮された細かい仕事。

エフェクトの効果的な使用。

それらがこの楽曲のすごさでありRADWIMPSの魅力、だそうです。

私は、4人それぞれの持つ、卓越したリズム感に魅せられます。

メンバー全員にこれほどのリズム感が具わっているのは、非常に稀有なバンドではないかと思います。







『おしゃかしゃま』

カラスが増えたから殺します
さらに猿が増えたから減らします
でもパンダは減ったから増やします
けど人類は増えても増やします

僕らはいつでも神様に
願って拝んでても いつしか
そうさ僕ら人類が 神様に
気付いたらなってたの 何様なのさ

僕は見たことはないんだ
あちらこちらの絵画で見るんだ
さらに話で聞いてる神様は
どれもこれも人の形なんだ

偶然の一致か 運命の合致
はたまた 自分勝手スケッチ
あっち こっちそっちってどっち
一体どうなってるんダ・ヴィンチ

来世があったって 仮に無くたって だから何だって言うんだ
生まれ変わったって 変わらなくたって んなこたぁどうだっていいんだ
人はいつだって 全て好き勝手
なんとかって言った連鎖の上に立ったって
なおもてっぺんがあるんだって言い張んだよ

もしもこの僕が神様ならば 全てを決めてもいいなら
7日間で世界を作るような 真似はきっと僕はしないだろう
きっともっとちゃんと時間をかけて また きちっとした計画を立てて
だって焦って急いで作ったせいで 切って張って 作って壊して

増やして減らして 減らしたら増やして
なして どうして ってなんでかって?
「?」出したフリして 分かってるくせして
「話して 聞かせて なんでなんで」

だって馬鹿なんだって人類なんて
そりゃそうなんだって分かってるって
だから1、2、3で滅んじゃえばいいんだって
だって なんてったって

馬鹿は死なないと治らない なら考えたって仕方がない
さぁ来世のおいらに期待大 でも待って じゃあ現世はどうすんだい
さぁ無茶しよう そんで苦茶しよう 2つ合わさって無茶苦茶にしよう
さぁ有耶しよう そんで無耶しよう 2つ合わさって有耶無耶にしよう

だからなんだって ダメになったって 先があんだって言うんだ
なぜになんだって ポイしちゃっといて 次はなんだって言うんだ
だがしかしbut けどけれどyet 何をどうやっていいんだ
何を言ったって 何をやったって ダメだダメだって言うんだ

ならば どうすればいい? どこに向かえばいい
いてもいなくなっても いけないならば どこに

来世があったって 仮に無くたって だから何だって言うんだ
生まれ変わったって 変わらなくたって んなこたぁどうだっていいんだ
天国行ったって 地獄だったって だからなんだって言うんだ
上じゃなくたって 下じゃなくたって 横にだって道はあんだ












次は、『狭心症』。

以下のような思いを絞り出すようにして、この楽曲が作られたそうです。

美味しいものを食べたり、大事な誰かと過ごしたり、そうした幸せな時間のかげでは必ず、どこかの誰かが苦しみ、絶望に陥っているのだということを、私たちは知らなければならない。

あらゆる命、あらゆる搾取の上に、生かされているのだと。

“世の中”や“世界”というものを自分から切り離して、一歩ひいた所から語る人も多いけれど、それは違う。

常に当事者である自分を意識しなければ、いつまでたっても悲しみはなくならない。



歌詞中に登場します、『イワンのばか』。

初めてこの楽曲を聴いたときに、あぁ、と記憶が引っ張り出され、トルストイのそれを改めて読み直しました。

かつてページを捲った時とはまた異なる印象が得られ、新たな感慨を覚えました。

自分や自分の家族、自分の愛するものが良ければそれでいいという、そういう意識の高まりは、あっという間にその大事なものさえも奪い去ってゆく。

生活に追われ、余裕のない現代の私たちだからこそ、都合の悪いものを無視し、切り捨てて前進するのではなく、時に立ち止まり、振り返って、じっと考えてみることが必要なのだろうと思います。



※ 公式サイトに掲載されているこのMVは辛い映像が含まれておりますので、ご自身のご判断でお願いいたします。







『狭心症』

この眼が二つだけでよかったなぁ
世界の悲しみがすべて見えてしまったら
僕は到底生きていけはしないから
うまいことできた世界だ いやになるほど

それなのに人はなに血迷ったか
わざわざ広いこの世界の至る所に
ご丁寧に眼付けて あーだこーだと
僕は僕の悲しみで 精一杯なの

見ちゃいけないなら 僕がいけないなら
針と糸すぐ ほら 持ってきてよ
塞いでしまうから 縫ってしまうから
最後にまとめて全部見せてよ

1が1であるために今日も僕はね
100から99も奪って生きてるんだと
んなの教えてと頼んだ覚えはないのに
いいから ほら もう黙ってて イワンのバカ

世界から見れば今のあなたは
どれだけ かくかくしかじかと言われましても
下には下がいるって 喜びゃいいの?
僕は僕の悲しみも 憂いちゃいかんとさ

泣いちゃいけないなら 僕がいけないなら
涙腺など とうに切っといてよ
生まれた時にさ へその緒の前にさ
ついでに口 横に裂いといてよ
したら辛い時や 悲しい時も
何事もないように笑えるよ
そうでもしないと とてもじゃないけど
僕は僕をやってられないんだよ

今日もあちらこちらで 命は消える
はずなのにどこを歩けど 落ちてなどいないなぁ
綺麗好きにも程があるよ ほんとさ
なんて素晴らしい世界だ ってなんでなんだか

そりゃ 色々忙しいとは思うけど
主よ 雲の上で何をボケっと突っ立ってるのさ
子のオイタ叱るのが務めなんでしょ
勇気を持って 拳を出して
好きなようにやっちゃって

見なきゃいけないなら 僕がいけないなら
まぶたの裏にでも貼っといてよ
生まれた時にさ へその緒の前にさ
そうまでして逆らいたいなら
僕がうれしい時も 気持ちいい時も
瞬くたび突き落としてよ
だってじゃないとさ 忘れてしまうから
僕の眼は二つしかないから

この耳が二つだけでよかったなぁ
世界の叫び声がすべて 聴こえてしまったら
僕は到底 息ができないから
僕は僕を幸せにする機能で

いっぱい いっぱい いっぱい いっぱい
いっぱい いっぱい いっぱい いっぱい

見ちゃいけないなら 聴いちゃいけないなら
僕らの下にも次の命が
宿った時には へその緒の前にさ
そのすべての世界の入口を
閉じてあげるから 塞いだげるから
僕が君を守ってあげるから
逃がしたげるから その瞳から
涙が零れることはないから










最後は、先月、震災から3年の日に生まれたばかりの、『カイコ』。

新しい楽曲でまだ正確なものが分からないので、歌詞は書きません。








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