今日も明日も、マリリン日和

センター負傷棟から救出された雑種犬、マリリン。車いすを軽快に乗りこなすマリリンと、夫と、私。家族の日々の記録です。

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フィラリアを学ぼう(最終章) ~敵はボルバキアだった・・・これが新しい治療法だ!の巻~

本日は、フィラリアの治療法について書いていきたいと思います。

前回も述べたように、フィラリアの治療を選択するにあたっては、その子が現在どのような状態であるか、症状の把握をすることが大切です。

残念ながら、どの治療法も大きなリスクがあり、駆虫に成功しても、蝕まれた臓器が元に戻ることはありません。



フィラリアは寄生虫ですので、回虫などの虫と同じ仲間です。

しかし、大きな違いがあります。

回虫のような消化器官内の虫ならば、駆虫すると、体外に排出されます。

が、フィラリアは血管内の虫。

血管に出口はありませんから、駆虫しても死骸の行き場がないのです。

よって、駆虫しちゃえばOK!というわけにはいかないのですよね。

それを踏まえ、治療法を見ていただければ、どれほど予防することが大切であるか、分かっていただけると思います。



まずは、治療法の分類をご紹介いたします。


1.注射による駆虫

メラルソミンというヒ素系の薬を2回~3回に分けて注射する方法です。

ヒ素!?と驚かれる方も多いと思います。

そうです、あの毒カレー事件のヒ素です。

どれだけ恐ろしい薬かわかりますよね。

でも、このような薬を使わないと成虫の駆虫はできないのです。

<メリット>

・成虫の駆虫ができること。(成虫を一気に殺すことができるのは、この治療法だけです。)

<デメリット>

・猛毒の薬を体内に入れるため、ヒ素中毒などの危険が伴う。

・肝臓に大変な負担がかかる。(ヒ素のような猛毒を肝臓だけで解毒しなきゃならないなんて、考えただけで恐ろしいです)

・副作用がある。吐き気や痛みなどを伴います。

・一気に成虫を殺すため、大量の死骸が詰まることで、肺動脈塞栓症を起こすことがある。詰まる他にも、肺動脈の疾患があった場合も肺動脈塞栓症を起こしやすい。

・究極的な絶対安静状態が必要。一週間程度か一か月程度か、その子によって違うが、いずれにしても、獣医の監視のもとで絶対安静。少しの興奮もだめ。部屋が暑いなどで、ハーハーすることも厳禁といった、徹底的な安静状態を要求されます。そのため、それが難しいと思われる子にはこの治療法はできません。



2.外科的治療

いわゆる、つり出し手術です。

アリゲーター鉗子という器具を頸静脈から挿入し、成虫を引っ張り出します。

ベナケバ症候群に陥ったときには、この方法しか助かる道はありません。

術後の回復が望めるかどうかは、ケースバイケースです。

<メリット>

・薬剤の投与と違うので、副作用がない。

<デメリット>

・完全に駆除できるとは限らない。残っていれば、またフィラリアは進行する。

・予後不良の場合も多く、肺動脈塞栓症になることも。

・年齢や心臓の状態によっては、麻酔自体にリスクがある。



3.フィラリア予防薬をのみ、成虫の寿命を待つ方法

1や2の治療法には大変なリスクが伴うため、この方法を選択する方が多いようです。

1と2が積極的治療なら、この3は消極的な治療ですね。

フィラリア陰性の犬が月に一度のんでいる予防薬を同じようにのみ、新たな感染が起こらないようにしながら、すでにいる成虫の寿命を待つ、というやり方です。

陰性の子は冬の間は予防薬をのまないと思いますが、この治療の場合は、年間を通してのみ続けます。

3種類の系統の予防薬のうち、イベルメクチン系の薬においては、成虫の寿命を短くするという効果があると言われております。

ただし、前にも書きましたが、成虫が存在しているということは、L1が血管内にいる可能性が高いので、副作用を抑えるためにステロイドなどの事前投与が欠かせません。

<メリット>

・猛毒を身体に入れたり、麻酔をしてお腹を切るといった負担がない。

<デメリット>

・いくら治療中とはいっても、成虫がいることには変わりはないので、成虫が死ぬまで臓器は蝕まれ続ける。よって、フィラリアは進行していきます。

・この治療法でも、肺動脈塞栓症などの合併症の危険は常につきまとう。これまで無症状だった犬が、この治療を始めた途端にベナケバ症候群を起こすという例もある。

・あまり活発な犬の場合、思うような結果が得られないことがある。

・成虫の寿命は5~7年と言われるが、フィラリアに寄生する菌(後述します)の力によって、なかなか死んでくれない成虫もいるため、どれだけ時間がかかるかわからない。




いかがでしょうか。

どの方法も、メリットよりデメリットのほうが格段に大きいことがわかっていただけると思います。

予防しなければ、こんな大変な未来が待っているのです。

これらのどの治療法を採用するかは、その子の現在の状態を把握した上で、獣医さんと飼い主さんでよく話し合い、最終的に飼い主さんが納得した治療を行うのが望ましいと思います。

我が家のマリリンは、幸い目立った症状がなかったため、これまで3の方法を行ってまいりました。




さて、いよいよここまで来ました!

ここからは、マリリンが挑戦しようと考えている、新しい治療法についてお話したいと思います。

その治療法のご説明にあたって、ある菌のお話をしなければなりません。

実は、近年、寄生虫であるフィラリアを宿主として寄生する菌があるということが発見されたのです。

その名も『ボルバキア菌』

寄生虫に寄生する菌!?なんじゃそりゃ!?って感じですが、いやいやこの菌、すんごいヤツなんですよ。



ボルバキアは、様々な昆虫の体内に存在している菌なのですが、一般的な細菌とは違って、単独では生きられません。

生きるためには、宿主の細胞に寄生する必要があります。

よって、宿主を殺すような菌ではなく、宿主と共生し、さらには自らが生き残るために宿主の働きを活性化させる力を持っている菌です。

このボルバキアが、フィラリアの虫体内に存在し、互いにメリットのある関係を作り出していることが発見されたのです。

しかも、フィラリアが引き起こす心臓その他の各臓器への悪影響は、このボルバキアの力によるものだということが分かってきました。

フィラリア成虫がどれだけ身体を壊していくかはこれまでにも書きましたが、ボルバキアは、犬の免疫系を破壊し、そういった病原性の強化に関与しているのです。

ボルバキアは、フィラリア虫体の細胞内に寄生するが、最小限の細胞質しかない精子には潜り込めず、卵子に寄生します。

つまり、フィラリアのメスだけを使って繁栄していくのですね。

ということは、ボルバキアにとって、自分たちが子孫を残していくのに、フィラリアのオスは不要。

メスを増やしたいのにオスによって場所が狭くなるから、むしろ邪魔なだけです。

そこで、なんと宿主であるフィラリアの生殖システムを改造しちゃうんです。

フィラリアのオスにボルバキアが感染した場合、メスに性転換させます。

また、彼らは、メス単独で子を作らせるように改造してしまいます。

つまり、これまでオスとメスの交尾によりL1を産んでいたのが、メスがひとりで産めるようになっちゃうのです。

メスだけ大量に増えて、しかもそのメスたちがそれぞれ子を産みまくる・・・。

なんて最低なことをしてくれる菌でしょう

そうすることで、どんどん子を増やし、その子にまたボルバキアが寄生する形で、彼らは繁栄を目指すわけですね。

なんだか気の毒になってくるくらいにオスを徹底的に排除するボルバキア、これはもうSFの世界のお話かと思ってしまいます。


また、フィラリア自身は、実はそんなに強い寄生虫ではないようで、ボルバキアがいるからこそ、犬の体内で生きられるのです。

もし、ボルバキアがいなければ、犬の免疫系を破壊する者がいないわけですから、フィラリアが犬の免疫により、寿命を待たずに弱り果て、死んでしまいます。

それならば!

ボルバキアをやっつけることで、フィラリアを治療できないか、ということになったのです。



その方法は、意外と簡単、投薬でボルバキアをやっつけます。

ドキシサイクリン系という抗菌剤を、毎日朝晩1か月のみ続けます。

ドキシサイクリン系の中で、ビブラマイシンという薬がよく用いられているようです。

ボルバキアを殺すことにより、フィラリアを弱らせておいて、イベルメクチン系などの予防薬を通常通り1か月に1回のみます。

ビブラマイシンを1か月のみ続けたところで、2~3か月休む。これを1クールと考えます。

で、休んだあとはまた同じように1か月のみ続ける、というサイクルを繰り返します。(2~3か月の休みというのは、抗菌剤の効果が続く期間なのですが、これについては、2か月の判断なのか3か月の判断なのか、獣医さんによって見解が分かれるようです。)

思った以上に、簡単な方法ですよね。


抗菌剤でボルバキアが殺されると、フィラリアは犬の免疫で生きることができなくなり、弱っていく一方。

メスは、L1を産めなくなります。

つまり、不妊化させるわけですね。(これは私の推測ですが、元々子どもを産めるメスが不妊化するというだけでなく、ボルバキアが性転換させていたオスが、また元に戻るといった場合も含まれているのではないか、と思っております。)

また、予防薬のお話のときに、イベルメクチン系を投与した際に、L1が血管の中で大量に死ぬことにより、ひどい場合にはベナケバ症候群のような副作用を起こす危険性があると書きました。

しかし、この治療法では、ボルバキアを殺しておくことによって、なんとこのリスクも軽減されるのです。

ベナケバなどを引き起こす悪さをしていたのも、ボルバキアの存在が大きいのですね。

ボルバキアがいなくなって弱ったフィラリアには、ほとんど力がありませんから、肺動脈のあらゆる病変が軽減し、また、肝臓や腎臓など、フィラリアに蝕まれていた臓器への悪影響も軽減されるようです。

要するに、実はフィラリアはボルバキアがいなければ何もできないヤツだった、というわけですね。

これまで守ってくれていたボルバキアという味方を失い弱り切ったフィラリアに、イベルメクチン系の薬で直接とどめを刺す。

そうすることで、大体7~8か月で陰転した例が多いようです。

よって、一気に大量の成虫が死ぬわけではありませんから、成虫の死骸が詰まって肺動脈塞栓症を起こす危険も少ないんですよ。


この治療のありがたいことは、悪さの元であるボルバキアをやっつけちゃってからあれやこれやとフィラリアに手を加えるので、治療中も治療後も、非常に良い状態で保てる例が多いということ。

ただ、もちろんビブラマイシンも薬である以上、何らかの副作用があるかもしれないことは、頭に置いておいたほうがいいと思います。

マリリンの場合、実は気管支炎のときに何度もビブラマイシンをのんでおりました。(動物病院には必ず置いてある非常に一般的な薬なので。)

当時は、そんな効果のある薬だとはまったく知りませんでしたが^_^;

何度か服用を経験している以上、副作用はそれほど心配ないと思います。



この画期的な治療法ですが、まだ新しいので世界的に確立されたものではありません。

たとえば、ビブラマイシンをのみ続けた後、2か月休むのか3か月休むのか、どういった治療間隔がベストなのか、そのあたりがはっきりとわかっていないからです。

現在、どんどん症例が増えているでしょうから、この治療法がメインの治療として確立される日も近いのではないかと思います。

フィラリアに苦しむ子たちが、この治療で1匹でも多く救われることを願っております。



さてさて、最後にマリリンの様子を少し。

昨日、仕事から帰った父ちゃんと大喜びで遊んだときのものです。

元気いっぱいのマリリンをどうぞ~!


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↑ヤバイ!後ろ脚がクロスしちゃった~



今日午後から、埼玉県狭山市にある白石動物病院で、専門医の診察を受けてまいります。

肝臓への負担と、てんかんの不安が解消できれば、マリリンもビブラマイシン治療法を選択できるのではないかと希望を持っております。

またブログでご報告させていただきますね!

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