今日も明日も、マリリン日和

センター負傷棟から救出された雑種犬、マリリン。車いすを軽快に乗りこなすマリリンと、夫と、私。家族の日々の記録です。

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肉球に振りまわされて





週末のこと。

めずらしく気温が低く涼しかったので、久しぶりに明るい時間の散歩を楽しんでからお出かけしましょ、ということになり、お昼頃、みなで家を出た。

彼女の様子がおかしいと気づいたのは、玄関を出てすぐのところ、最初の匂い嗅ぎスポットである電柱に立ち寄ったときだ。

いやに長い。

初めは、気になる匂いがあるんだねぇ、などと笑っていたものの、いっこうに終わる気配のない嗅ぎっぷりに、首を傾げる。

じっと観察してみれば、時折ちらりとこちらを窺ったりして、ぜんぜん集中していないじゃないか。

ちょっと何なのさ、ほら行くよ、とリードを引くと、

「ひゃわわん!!」

甲高い鳴き声をあげた。

え!? え!? 何? どうしたの!?

2人そろってオロオロと狼狽し、みっともない格好で彼女を取り囲む。

呼吸を整え、何が起こったのかを考えた。

今の鳴き声からすると、どこかが痛いのだろうと判断し、その場所を探るため、そろりそろりと、歩かせてみる。

すると……。

Σ(゜Д゜)

右の前足をかばって歩いてる!?

ひどく痛そうに顔を歪め、ガクンガクンと妙なリズムをとりながら、少し歩いては、

「もうだめ、アタシぜんぜんだめ、地球がひっくり返っても歩けない」

みたいな顔で立ち尽くし、私たちを見上げている。



これはヤバイ。

おそれていたことがついにやって来た。

この子の生命線である前足が、永年の負担により、とうとう不具合を起こしたのではないか。

あわわ、あわわ。

スマホを取り出し、震える指で、かかりつけの病院に電話を掛けた。

受話器の向こうから、

「今からでもこちらは構いませんが、あと3分で受付終了時刻になりますので、おそらく時間外料金になってしまうかと思いますが」

優しいお姉さんの声が聴こえた。

私たちは、寸分の迷いなく、それでいいです、お願いします!と、何か事故にでも遭ったかのような切迫感で言っていた。

後々よく考えてみれば、4時間待てば午後の診察が始まるわけで、足以外は元気であるマリを、先生のお昼休みを遅らせてまで緊急に診察していただく理由など、どこにもないのだった。

要するに、ひと言で言って、パニクっていた、というわけだ。

マリリンを迎えて、早4年。

心配“症”だった過去を笑う余裕さえ出てきた私たちであったけれど、この日、実際にはまったく成長していなかったことが露呈してしまった。



病院に着き、時計を見ると、受付終了時刻を2分過ぎていた。

すみません、すみません、と謝り倒し、それでもこのときはまだパニクり最中だったため、午後出直しますという選択肢はまるでなく、謝りながらも、きっちり待合室に座った。

完全にモンスター飼い主である。

担当してくださっている女性の先生が、前の子の診察を終え、いつもの穏やかな笑みを浮かべながら、待合室にやって来た。

そして私たちを見、

「あぁ、受付終了後に来たっていうのは、マリリン一家かぁ~」

いかにもそう思っているような顔で、ふき出した。

先生すみません、すみません、と謝りつつ、やっぱり図々しく診察室へ入れてもらう。



頭の中を、さまざまな病気、怪我の類いがめぐっていた。

前足がだめになったら、寝たきりになってしまうのか。

そうしたら、銀父さんに四輪の車いすをつくってもらおう、うん、そうだ、大丈夫、マリリンは楽しく生きていかれるさ!

そこまで考えたところで、診察が終わった。

ものの3分だった。



あれ? あのぉ、先生、レントゲンとか、なんかわかんないけどエコー的なアレとか、いろいろやんなくていいんすかね?



「うん、大丈夫ですよ~、触った感じでは、骨も関節も異常ないです。

唯一心配されるのは、脊髄の影響が前足に出て来るということ。

ただ、その場合、痛みはほとんどなく、それよりも、歩くとき足がぐにゃりと妙な方向に曲がったりし始めるんですよ。

しかも、少しずつ症状が表れてくるので、今日いきなりということはないと思います。

この子の場合、そうした症状は今後も注意しておかなければなりませんが、現段階では、大丈夫だと思います」



えぇ~っとぉ、するってぇ~と、ひゃわわん!って鳴いて、すっごく痛そうに苦しそうにしていたのは……?



「肉球です、肉球の炎症。

ほら、この右足の肉球の間の皮膚のとこ、ポチって赤みがあるでしょう?

これが、地面を踏んだときに痛むんですよ。

この程度の炎症は日常的になってる子もけっこういるんで、痛みを感じる個体差があるんだと思いますが、まぁ、ほらマリリンちゃんの場合……ね、とても繊細だから」



父ちゃん母ちゃんは、そろって赤面した。

ほらマリリンちゃんの場合って言われたーー!

ね、のとこでクスッて笑われたーー!



果たして、病院や先生にご迷惑をかけ、時間外料金を支払い、寝たきりの生活まで考えて臨んだ診察の結果は、肉球の炎症。

抗生物質で細菌を退治しつつ、一週間くらいは散歩など無理しないように。

それで治療終了、とのこと。

……はい、わたくしたち夫婦は、4年前からまったく成長していなかったことをここに記します。



いや、でもでも、ちょいと言わせてもらえれば、ほんっとうに大げさなのだ、マリリンの痛みに関する訴えは。

狂犬病の注射ひとつとったって、まるでトンデモナイ暴力を振るわれたかのように、痛みに鳴く、いや、泣く。

この子のそうした性質を知ってからは、まったく感覚のないお尻の辺りに打ってもらうようになった。

下半身不随であることの最大の特権を味わう瞬間だ。



マリリンや、あのぉ、もう少し、その症状に合わせたレベルの騒ぎ方をしてくれないかねぇ。



CIMG6265_R4.jpg
「無理です。あたしゃ、背骨が折れたとき、この世の激痛ぜんぶ引っかぶったからね。そのトラウマが身体に沁み込んでんだよ。ちょっとでも痛いと、あの地獄を思い出すんだよ。だからビンカンなの」


いや~、マリ坊、それ言われちゃうと、わたくしたちは、なんも言えねぇ状態になるんだけどね。

でもさぁ、おやつの袋出したときにさ、ティッシュを取ろうと振り返った拍子に袋の角がちょんと当たっただけで、ひゃあああおぉ!!ってのは、どうなんすかね。

あれはほんとに痛かったんかい?



CIMG6292_R4.jpg
「さあ、どうだかねぇ。ただひとつ言えるのは、そのあと母ちゃんが思いっきり謝って、そんでおやつをいつもの倍くれたってことだよ」



とにもかくにも、前足が無事で良かったです。




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